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骨・関節などの運動器疾患に関する調査結果

はじめに

日本人の平均寿命を見ると先進諸国中、戦後最下位であったものが平成16年(2004年)調査では、男性が78.6歳、女性が85.6歳と男性・女性共に世界一となっています。現在も長寿でありたいとの思いは人々の共通の願いであることは確かですが、長寿であることのみで生活の質(QOL)が高まることにはなりません。つまり生命活動を維持する心臓・脳といった臓器のみの機能が保たれていても、「運動器」による意図的な身体活動が制限されているのであれば、QOLは保たれず、人間らしい生活が送れないのではないかということです。QOLが重視される機運の中、健康寿命という概念が提唱されました。(Katz S et al; NEJM,309;1218-1224,1983)

健康寿命とは

健康寿命は、健康で障害の無い期間(支援や介護を要しない期間)と定義され、「0歳平均余命-障害期間」として計算出来ます。これにより健康寿命を延ばしや障害期間を短縮するという明確な目標を立てることが可能となりました。
最新のデータでは平均寿命は男性78.6歳、女性85.6歳であり、健康寿命は男性72.3歳、女性77.7歳です。すなわち男性では6.3年、女性では7.9年何らかの障害をもって生活することになります。それでは健康寿命を縮める原因にはどのようなものがあるのでしょうか。

要支援者の支援が必要となった原因

健康寿命を縮める原因 支援が必要となった原因

厚生労働省 国民生活調査 平成16年度 表22 要介護度別にみた支援が必要となった主な原因の構成割合
厚生労働省の統計データ(平成16年)により、『要支援者の支援が必要となった原因の構成割合』の1位は「高齢による衰弱」、次いで2位に「関節疾患」、3位「脳血管障害」、4位「骨折・転倒」だったことがわかります。
RICHBONEの視点
要支援の原因疾患の第一は関節症となっていますので運動器疾患が、健康寿命を損なう大きな原因であることが示唆されます。また多数の高齢者の生活の質(QOL)が「関節疾患」・「骨折・転倒」によって妨げられたことが分かります。
Memo 要支援者とは?
社会的支援を要する状態
介護保険法の要支援と認定された者
(1)要介護状態となるおそれがある状態にある65歳以上の者
(2)要介護状態となるおそれがある状態にある40歳以上65歳未満の者であって、その要介護状態となるおそれのある状態の原因となった心身の障害が特定疾病によるもの

健康寿命を縮める原因 介護が必要となった原因

厚生労働省 国民生活調査 平成16年度 表22 要介護度別にみた介護が必要となった主な原因の構成割合
厚生労働省の統計データ(平成16年)により、『要介護者の介護が必要となった原因の構成割合』の1位は「脳血管障害」、次いで2位に「高齢による衰弱」、3位「認知症」、4位「骨折・転倒」、5位「関節疾患」だったことがわかります。
RICHBONEの視点
支援が必要となる原因と同様、介護が必要となる原因の多くが「骨折・転倒」・「関節疾患」など運動器疾患であることが分かります。
Memo 要介護者とは?
介護保険法の要介護と認定された者
(1)要介護状態にある65歳以上の者
(2)要介護状態にある40歳以上65歳未満の者であって、その要介護状態の原因となった心身の障害が特定疾病によるもの
以上のデータから運動器疾患が健康寿命を縮める大きな原因であることが示唆されます。それでは一般に運動器疾患を扱う整形外科に受診する患者数はどの程度なのでしょうか。

科目ごとの患者数

厚生労働省の統計データ(平成14年)により、『科目別 入院・外来患者数』の1位は「内科」、次いで2位は「整形外科」、3位「外科」であることがわかります。
RICHBONEの視点
このグラフから、全国の医療機関の科目ごとの患者数がわかります。数多くの科目の中でも「整形外科」患者数は第2位であり、骨や関節など運動器疾患により受診した人数が多いことが示唆されます。

症状をかかえている人の数

厚生労働省 国民生活調査 平成13年度  健康票 第2巻 第50表
厚生労働省の調査(平成13年)により、『最も気になる自覚症状』の1位は「腰痛」、次いで2位は「肩こり」、3位「手足の関節が痛む」だったことがわかります。
RICHBONEの視点
この調査結果の上位3位は「腰痛」、「肩こり」、「手足の関節が痛む」といずれも運動器疾患であり、運動器疾患により悩まれている方が多いことが示唆されます。

病名ごとの患者数

厚生労働省 国民生活調査 平成13年度  健康票 第2巻 第70表
厚生労働省の統計データ(平成13年)により、病名ごとの患者数1位は「高血圧症」、次いで2位は「腰痛症」、3位「ムシ歯」、4位「高脂血症(高コレステロール血症等)」、5位「肩こり症」だったことがわかます。
RICHBONEの視点
骨と関節など運動器に関係のある病名を見てみますと、2位「腰痛症」、5位「肩こり症」、9位「関節症」、17位「骨粗鬆症」となっており「整形外科」に関係した病気で通院している方が多いことが示唆されます。
この調査は、全国5240地区の約28万世帯を対象とした世帯調査であるため、病院へのアンケート実施期間に通院していない場合でも病名が把握できる利点があります。

調査一覧

おわりに

以上のことから現在、我が国の国民がもっとも多く抱えている身体的愁訴は「運動器」の障害に由来していること、運動器疾患が健康寿命を縮める大きな原因となっていることが分かりました。しかし、自覚症状(身体的愁訴)があっても病院・診療所に受診されない方もいらっしゃいます。その際によく耳にするのはどこにかかったら良いのか分からないとの声です。
整形外科は骨や関節など運動器の疾患を治療し、皆さんの日常の生活の質(QOL)を高めることを目標に医療を行っております。
いつまでもいきいきと自立した生活を送るために、腰痛やひざ痛など気になる症状がありましたら、整形外科にご相談下さい。
(2005年9月掲載)
監修:吉村 典子先生、岡 敬之先生
東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター 関節疾患総合研究講座
後援:日本骨粗鬆症学会 (C)yutakanahone-suishin-iinkai