50才になり、すぐに乳癌と卵巣癌がみつかり、ホルモン剤を今後、5年間服用する予定です。先日、骨密度検査により、骨粗しょう症ギリギリと診断され、ビタミンDを処方されました。数年前に、検診で骨密度を計測してもらった時は、全く問題なく、30代ぐらいあると言われていました。閉経したことと、この半年間、抗がん剤治療の副作用で、食事がとれない日々が続いたことも影響しているのではないかと思うのですが。こんなにも急激に変化することがあるのでしょうか。また、エストロゲンを抑制する薬が原因で骨粗しょう症へと加速しているのではないかと不安です。もう、骨密度が改善することはないのでしょうか。
数年前には骨密度値が正常であったのに、@閉経、A乳がん・卵巣がんに対するホルモン療法・抗がん剤療法、B半年間食事が摂れない日が続いた、などで骨密度値が骨粗しょう症ぎりぎりのところまで低下するのかとのご質問のようです。
50歳前後の閉経を迎えた女性は骨密度値の低下が著しく、健常な女性でも5年間で骨密度の値が10〜20%も低下することが多いですので、食事と共にカルシウムを十分に摂れなかったなどのライフスタイルが半年間でも継続すれば、以前は正常な骨密度値であっても数年間で20%以上減少することは十分に考えられます。
しかし、骨はこのように変化し易い臓器であるからこそ、逆にこれから数年間の努力や骨粗しょう症治療薬の使用により骨密度値が骨粗しょう症ぎりぎりの状態から大きく脱することも可能と言えます。一見して骨は大理石や化石のように変化しないような固い表情を示していますが、顕微鏡で観察しますと骨には常に骨を壊す細胞、骨を作る細胞が活発に働いて変化し続けているのです。特に、閉経期には骨の細胞の働きが活発化して、骨を壊す細胞の働きが骨と作る細胞の働きを上回り差し引きすると骨密度値が減少することになりますが、この時期は活発な運動とカルシウム豊富な食事への配慮をすることにより骨密度値を増やすチャンスともなります。実際に閉経期女性が運動・食事により骨密度値を増やしたといった報告は沢山あります。
したがって、骨粗しょう症ぎりぎりという骨密度値であることが分かったことは50歳になって遭遇された様々な病気の治療は医療に任せておいて、自分としては骨密度値を増加させながら体力の回復し病気からの脱却を目指すというスタートラインを示して頂いたと捉え、回復への努力をしてください。処方されたビタミンDは他の骨粗しょう症治療薬に比べて副作用が少ないですので軽度の骨粗しょう症に対してじっくりと治していくのに適しています。骨密度値の維持・改善に夢を託して先生のご指導に従って治療を続けてください。
( 監修 / 林先生:東京都リハビリテーション病院院長 )