骨と関節のQ&A・用語辞典
質問
44歳 男性です。食事にもカルシウム豊富なメニューに気をつかい、毎日、筋肉トレーニング中心の運動をしています。通常の健康診断では異常がありませんでしたが、超音波骨密度健診で、同年齢者の骨強度が100とすると91程度といわれ、たいへんショックでした。運動負荷をかけすぎると骨が破壊されることがあるでしょうか。
答え
健常人の骨密度値の多くは若い人の骨密度値の平均値プラス・マイナス10%の範囲内に入っており、この状態が正常と定められています。従って、質問されている方の骨密度値が若い人の平均骨密度値に比べてマイナス10%であるとしても、それは個人差による違いと捉えていただき、がっかりしないで下さい。
骨は鍛えた部位が強くなる、持続的な力よりも衝撃的で大きな力のほうが骨密度を増やすのに有効である、などが分っています。若い女性については女性ホルモンが出なくなるほど過剰に運動した場合は骨にとって有害ですが、通常では運動負荷をかけすぎて骨が破壊することはありません。超音波による骨密度測定は踵や脛の骨を計測しますので、筋肉トレーニングで鍛えられている部位と計測されている部位との間に多少のミスマッチがあるのではないでしょうか。また、同じ運動でもエアロビクスよりも重量挙げのような荷重の大きくかかる運動のほうが骨を強くし、水泳よりも柔道や短距離競走のように瞬間的な衝撃力の大きな運動のほうが骨密度を増やすのに有効です。
以上のことから、筋肉トレーニングを継続しているにも拘らず、超音波による骨密度測定では期待したほどの骨密度値が得られなかったでしょうが、筋肉トレーニングの部位からは体内で最も早く骨粗しょう症の症状を発現する背骨・腰骨、骨折した場合に最も困る大腿骨の付け根の骨については骨密度がよい値を示しているものと推測されます。また、大きすぎる荷重や強すぎる衝撃力は骨を強くするのには有効ですが、関節を傷めつけたり、骨に余分な棘を発生させたりします。この点、水泳や筋肉トレーニング、太極拳などは骨強化にとって遠回りなエクササイズであっても体全体にとってはバランスのよい運動といえますので、ぜひカルシウム摂取に加えての筋肉トレーニングを継続されますようにお願い致します。
( 監修 / 林 泰史先生:原宿リハビリテーション病院 名誉院長 )
後援:日本骨粗鬆症学会 (C)yutakanahone-suishin-iinkai