骨粗鬆症

ほかの病気が原因に!?

糖尿病

生活習慣病の代表選手ともいわれる糖尿病は合併症が怖いことが知られています。3大合併症といわれる腎症状、神経症、網膜症に加えて、最近では骨粗鬆症も無視できない合併症となっています。

糖尿病治療のための食事制限などによりカルシウム摂取不足を招きやすく、また長期にわたる高血糖が骨の正常な新陳代謝を阻害し、骨を弱くすると考えられるのですが、それ以外にも糖尿病が進行すると網膜症のために視力が低下したり、神経症などのために感覚が十分ではなく、転倒する機会が多くなり骨折の危険性が高くなるからです。

さらに糖尿病患者さんでは緊急手術が望まれる大腿骨頚部骨折においても、時として待機手術をせざるを得ない状況に往々にして直面します。転倒しないよう気をつけるとともに、日頃の骨の健康維持により一層の配慮が望まれます。治療には活性型ビタミンD製剤、副甲状腺ホルモン、ビタミンK製剤などが有用ではないかと考えられます。


(監修/和田誠基先生:武蔵藤沢セントラルクリニック 院長)

慢性腎臓病(CKD)

腎臓は老廃物を尿として排出して体液の調節を行うほか、血液中のナトリウム、カリウム、カルシウムなどの濃度を正常に保つ働きをしており、またビタミンDの活性化や造血ホルモンの分泌、血圧の調節などに関わるホルモンの産生・分泌もしている重要な臓器です。

食物中のカルシウムを腸管から吸収するためには活性型ビタミンDが必要であることはよく知られていますが、腎臓の機能が低下するとビタミンDの活性化も低下し、活性型ビタミンDの不足からカルシウム代謝異常、二次性副甲状腺機能亢進症などを引き起こします。

二次性副甲状腺機能亢進症では骨吸収と骨形成が激しい状態(高回転骨)となりますが、やがて骨形成が骨吸収に追いつかなくなって骨量が減少してしまいます。それによって生ずるのが骨痛や関節痛、骨折の多発などの症状を伴う線維性骨炎で、慢性腎不全による骨障害の代表ともいえます。

このように腎臓は体内のカルシウムバランスの維持に大きく関わっているため、骨とはとても関係の深い臓器といえます。


(監修 / 塚本雄介先生:(医)秀和綜合病院副院長・腎臓ネット代表)

肝臓病

肝臓はさまざまな物質を産生したり、胆汁を分泌しています。肝臓の機能が重度に低下すると、腸管からのカルシウム吸収を促進する活性型ビタミンDの産生が低下します。また胆汁の分泌が低下すると腸管からのビタミンDの吸収が悪くなります。

その結果、血液中のカルシウムが減少し、骨からカルシウムが溶け出して骨量が減少してしまうわけです。予防法としては、食事からの十分なカルシウムとビタミンDの摂取、適度な運動と日光浴が大切です。


(監修 / 赤津 拓彦先生:防衛医科大学校総合臨床部講師)

甲状腺の病気

甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは骨を造ったり、骨からカルシウムを溶かす作用があります。この甲状腺ホルモンの分泌が亢進すると、骨からカルシウムが溶け出す方が勝り、骨量が減少します。

甲状腺機能亢進症は大半がバセドウ病で、女性に多い病気です。甲状腺ホルモンの過剰が原因ですのでホルモン過剰を是正することが骨量の回復に一番大切です。閉経期以降の方の場合骨量減少が加速されますので、安静が必要な急性期を除いては、日頃から食事や運動に注意することが大切です。


(監修 / 赤津 拓彦先生:防衛医科大学校総合臨床部講師)

婦人科の病気

女性ホルモンであるエストロゲンは、骨に対して重要な働きをしています。したがって閉経期以前の性成熟期にある女性でも、何らかの原因により性腺機能が低下し、エストロゲンの分泌が低下すると、骨量の低下が起こり、骨粗鬆症やそれに伴う骨折のリスクが高まります。

性腺機能低下の原因は様々で、先天的なものや、神経性食思不振症、両側卵巣摘出、過度の運動による無月経などの他、降圧剤(レセルピン、メチルドーバなど)や胃腸薬(スルピリド、メトクロプラミドなど)の長期服用でも起こる可能性があります。原因のわからない無月経や稀発月経も性腺機能の低下を疑う必要があります。

性腺機能低下による骨量減少の治療の原則は、性腺機能の回復です。原因と考えられる因子の除去が大切で、適度の運動の勧め、ダイエットの中止、また薬剤性の場合は中止や他の薬剤への変更を行います。下垂体腺腫では外科的治療を行うこともあります。それでも改善が認められない場合は、薬物療法を開始します。

薬物療法の第一はエストロゲンの補充療法(ERT)です。しかしERTだけでは完全な骨量の回復が得られないことも多く、その際にはビスホスホネートやビタミンD、ビタミンK2といった薬剤を使用します。またエストロゲンを用いた治療では乳癌、子宮体癌や血栓症のリスクが指摘されているため、その管理には十分注意が必要となります。

さらに、性成熟期の骨粗鬆症では治療によって骨量増加が認められても、依然その頂値が低いため、閉経や加齢に伴う原発性骨粗鬆症の予備軍であることが多く、長期間のフォローが必要となります。


(監修 / 茶木 修先生:横浜市立大学医学部産婦人科)

関節リウマチ

関節リウマチも骨粗鬆症とは関係の深い病気です。まず、関節リウマチで分泌される炎症を起こす物質は、破骨細胞を活性化して関節周囲の骨量を低下させます。さらに病状が進行すると、痛みなどのために体を動かすことが困難になり、骨量の低下は全身におよぶことになるのです。

一方、治療に使われるステロイド剤では、腸管からのカルシウム吸収を低下させるという副作用があります。さらに、個人差はありますが、ステロイド剤は、骨をつくる骨芽細胞の働きを低下させるとともに、骨をこわす破骨細胞の働きを高めて骨量を減少させます。これらの作用により、ステロイド剤を内服した患者さんでは、その骨量が減少して骨折を起こしやすくなります (ステロイド骨粗鬆症)。

関節リウマチは女性に多い病気ですので、閉経に伴う骨量減少もあわせて、骨粗鬆症のリスクがより高まるといえます。関節リウマチによる骨粗鬆症の治療は薬物療法とリハビリテーションに分けられますが、いずれにせよ関節リウマチ自体の早期発見、早期治療が第一です。


(監修 / 高田信二郎先生:徳島大学医学部整形外科)
後援:日本骨粗鬆症学会 (C)yutakanahone-suishin-iinkai