骨粗鬆症

骨粗鬆症の薬の種類と副作用

骨粗しょう症治療薬にはそれぞれ特徴があります。しかし、正しく服用あるいは自己注射しないと期待される効果が見られませんし、薬には副作用もありますので、服薬する際には危険性に関しても説明を受け、服用方法に関する注意を守ることが大切です。


主な治療薬


 

活性型ビタミンD3製剤

効果: 日本で最も長く使用されている治療薬です。腸管からのカルシウムの吸収を助け、骨の代謝を調節する薬です。また、骨を壊す作用を持つホルモン(副甲状腺ホルモン)を抑制する働きもあります。カルシトリオール、アルファカルシドールは、骨量の顕著な増加は見られませんが、骨量の減少を抑え、骨折発生頻度を低下させます。高齢者ではビタミンDやカルシウムの消化・吸収機能が低下し、さらに食品からのカルシウムやビタミンDの摂取が不足しがちです。そのような方々の基礎薬として有益な薬剤です。
副作用: 血液中のカルシウム濃度が増えすぎる場合があります。この場合には食欲不振、全身倦怠感などが見られます。カルシウム剤と活性型ビタミンD3製剤を併用している場合に副作用が出やすいので、カルシウム剤等をサプリメントとして用いている場合には医師や薬剤師に伝える事が大切です。また長期間服用している場合には3ヶ月に1回程度は血液と尿のカルシウム濃度を測定してもらうと良いでしょう。


エストロゲン製剤

効果: 閉経後や卵巣を摘出している場合に見られる更年期症状、骨量減少は女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌低下が原因です。これらの症状を緩和するためには、女性ホルモンを補うホルモン補充療法が効果的です。エストロゲンは骨からカルシウムが溶け出すのを抑える働きのある薬剤です。骨量の減少を抑えること、骨折頻度を抑制することが知られています。
副作用: 性器出血、乳房痛などがみられることがありますが、服用を続けているうちに治まってくるケースが多いようです。エストロゲンはまた、乳癌、子宮体癌の発症率を高めるといわれていますが、エストロゲンに加えてもうひとつの女性ホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)を組み合わせて投与することにより子宮体癌については発生率が低下します。心筋梗塞や脳卒中の危険性を増すことが示され服用による問題点がクローズ・アップされています。服薬中は、自覚症状がなくても、半年から1年に1回は婦人科検診を受けることが必要です。子宮体癌、乳癌を経験された方、ご家族にそのような方がいらっしゃる場合、また深部静脈血栓症の既往がある場合には、必ず医師に伝えてください。


選択的エストロゲン受容体モジュレーター

効果: 閉経後の骨粗しょう症患者さんでの骨密度増加、骨の代謝抑制、骨折頻度抑制効果が証明されている薬物です。体の中でエストロゲンが作用する組織で特異的にエストロゲン類似作用とエストロゲン作用の抑制効果を持つことが知られています。骨に対してはエストロゲン作用を発揮し、乳腺組織・子宮内膜に対してはエストロゲンのような刺激作用を発揮しないという性質を持つ薬物です。
副作用: 更年期症状で見られるような「ほてり感」と足の痙攣(こむらがえり)などが比較的多い副作用です。まれな副作用として深部静脈血栓症、肺塞栓症(エコノミークラス症候群)があります(ただし、アジア人・日本人対象の臨床試験ではほとんど認められていません)。このような病気と診断された患者さんや以前に病気が疑われた方は服用しない方が良いと思います。症状としては突然の呼吸困難、息切れ、胸痛、急な視力障害等があります。


ビスホスホネート製剤

効果: 骨の破壊(骨吸収)を強力に抑える働きがある薬剤です。骨量を増やし、大規模な臨床試験で薬剤非投与群に比べて骨折率を低下させます。
消化管からの吸収が悪く、経口薬の場合、食物や他の薬剤と一緒に服用するとビスホスホネート製剤の吸収が悪くなります。早朝空腹時に服用し、服用後30分は食物を摂らないようにするとともに、少なくとも30分以上は上体を起し、横にならないという制限があります。経口薬の場合、服用方法には様々な工夫がなされています。
副作用: 消化器症状、特に食道潰瘍が報告され独特な服薬指導となっています。また乳製品などとは一緒に飲まず、水とともに服用する必要があります。また、ごく稀に、顎骨壊死という上あごと下あごの障害を引き起こすことがあります。服用中にあごや歯に違和感があったり、歯科治療を行ったりする場合には医師や薬剤師に相談することが適切です。


副甲状腺ホルモン製剤

効果: 副甲状腺ホルモンは骨や腎臓などに働き、カルシウム濃度を調整する作用をもつホルモンと認識されてきましたが、近年では間歇的ホルモン投与が骨密度を著しく増やすことが知られるようになりました。すなわち、骨の形成を促進する働きを持つ新しいカテゴリーの薬剤として認知され、骨量を増やし、骨折率を低下させます。この薬剤は、服用方法と投与期間が異なる2剤があります。
  • 毎日自己注射(投与は24ヶ月まで)
  • 週1回静脈注射(投与は18ヶ月まで)
副作用: 血液中のカルシウム量が増えすぎる場合があります。同じく血液中のカルシウム濃度を増やす働きをもつ薬剤を併用している場合には副作用が出やすいので、医師や薬剤師に伝える事が大切です。


ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤

効果: 骨を破壊する細胞(破骨細胞)の分化を抑制し、最終的には骨の破壊を激減させることで骨密度を増やします。また大規模臨床試験において骨折率を低下させる事が示されています。
副作用: 低カルシウム血症が起こる場合がありますので、定期的に血液検査を受け、医師の指示通りカルシウムやビタミンDを服用する必要があります。また、ごく稀に顎骨壊死という上あごと下あごの障害を引き起こすことがあります。服用中にあごや歯に違和感があったり、歯科治療を行ったりする場合には医師や薬剤師に相談することが大切です。


ビタミンK2製剤

効果: 納豆などに含まれる成分で、骨の形成を補助する薬です。骨にカルシウムが沈着するのを助ける働きがあります。骨折の発生頻度については、重症例で低下したという報告があります。
副作用: 心筋梗塞などでワーファリン®を服用している場合にはその効き目を減らすため使用できません。ワーファリン®を服用している場合には医師に必ず伝える必要があります。


カルシウム製剤

効果: カルシウムは成人で1日600mg必要と言われていますが、骨粗しょう症の患者さんは1000mg程度の摂取が必要です。食事から摂ることが一番良いと考えられますが、なかなか食事だけではとれない場合が多いものです。カルシウム製剤だけでは骨粗しょう症を改善できないので、他の薬と併用して治療を行います。健康に害を及ぼさないためにカルシウム摂取量の上限は、食事と合わせて2500mgとされています。
副作用: 副作用としては胃腸障害がみられることもあります。カルシウム剤など自分で買って服用している場合には医師に相談してください。特に活性型ビタミンD3製剤との併用には注意が必要です。


(監修/和田誠基先生:武蔵藤沢セントラルクリニック 院長)

後援:日本骨粗鬆症学会 (C)yutakanahone-suishin-iinkai