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関節・関節痛 > 【解説】関節痛 > 関節痛の治療と薬剤

関節痛の治療と薬剤

注射のイラスト 1. 関節内注入薬
(A)ヒアルロン酸ナトリウム
(B)ステロイド剤
錠剤のイラスト 2. 抗炎症薬
(A)ステロイド製剤
(B)非ステロイド性抗炎症薬(消炎鎮痛剤)

 
1. 関節内注入薬

(A)ヒアルロン酸ナトリウム
 
効果: 変形性膝関節症おおび肩関節周囲炎、関節リウマチ(※)に対して関節腔空または粘液包、変形性膝関節症の場合、腱鞘内に1回2.5ml、5週間にわたり5回ほど注入します。この注入により約70%の患者さんの関節痛などが改善することが知られています。基礎的な研究では、ヒアルロン酸の注入により関節の動きが滑らかとなるために関節の動きが大きくなり、関節軟骨がよりよく修復されていくことが分かっています。

(※) ヒアルロン酸ナトリウムには、いくつかの種類があります。関節リウマチに対しては、そのうち二種類のヒアルロン酸ナトリウムが使用されます。
副作用: 注射部位の痛みや、肝臓などの臨床検査値異常を生じることがありますが、最も注意しなければならないものとして注射後の感染症があげられます。これは皮膚の毛根などに細菌が存在することで、それが関節内に侵入して生じるものです。注射後に不潔な手で触ったり、もんだりせず、強い腫れなどの異常があった場合には医師に報告することが大切です。また稀ですが体質的に合わないためにショック症状を生じることがあります。

(B)ステロイド剤
(一般名:トリアムシノロンアセトニド、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コルチゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム)
 
効果: 内服薬で改善しない関節炎に対してステロイド剤を注入しますと劇的に症状がよくなることがあります。注入の頻度は2〜4週に1回で、関節の大きさに応じて投与量を変えて、プレドニン量として1回に5〜40mgを注射します。
副作用:

大量に頻回注射をしますとステロイド剤そのものの副作用、例えば骨が弱くなる、皮下脂肪が増えたり満月様の顔になる、からだに抵抗力がなくなり感染しやすくなる、などが生じます。その他、関節内に細菌が混入して化膿する、薬の効果で関節が痛みを感じなくなるために無理な膝の使用によって軟骨や骨が壊れる、といった副作用も生じます。

このことから、ステロイド剤の関節内注入は非常に有効といえますが、やむをえない場合を除いてあまり多く実施しないといった医師が増えています。


   
2. 抗炎症薬

(A)ステロイド製剤
一般名:プレドニゾロン(5mg)、リン酸ベタメタゾンナトリウム(0.5mg)、リン酸デキサメタゾンナトリウム(0.75mg)   
※( )内の数値は同じ効果を示す量
 
効果: 炎症を強く抑える薬で、約50年前にステロイド剤の効果を発見した医師はノーベル賞を受賞し、地球上から関節リウマチが消え去ってしまうのではないかと期待したほどの効果的な抗炎症薬です。関節リウマチに血管炎や内臓病変を伴う場合、発熱・激しい多関節炎などを伴う場合などではステロイド剤を用いることになっています。また、関節リウマチに対して非ステロイド性抗炎症剤のみでは関節炎が治まらず、仕事に出たり、家事や趣味に力を入れるのに困るといった場合に使われます。

投与量は1日2〜3mgから10〜20mgまでと様々ですが、関節リウマチ以外の膠原病では、1日30mg程度使われること、関節リウマチにもパルス療法といってプレドゾロニンを1日1g、数日間点滴静脈注射されることもあります。変形性関節症にはステロイド剤が全身的に投与されることはありません。
副作用: ステロイド剤を関節リウマチに投与して劇的な改善効果を見出し、ノーベル賞を受賞した医師が「もう私のところにステロイド剤をもらいに来ないで欲しい」と叫んだのは副作用の強さ、多さによります。

健常な人の体でも副腎という臓器でプレドニゾロン量として1日に5mg程度のステロイドを分泌していますので、薬としてステロイド剤を内服し続けますと副腎は出番がなくなり仕事をしなくなります。これを副腎機能不全といいますが、この場合にはショックに対して体が脆くなり容易にめまいを生じたり、低血圧になったりします。細菌に対する抵抗力も低下し感染症にかかりやすくなりますが、その傾向はステロイド剤の使用期間が長くなるほど大きくなります。

その他、胃・十二指腸潰瘍、骨粗鬆症、糖尿病にかかりやすくなり、稀には精神症状が出現したりします。したがって、医師はステロイド剤を処方する際に少量を短期間にと努力しますが、どうしても炎症が強い場合は長く処方しがちとなることを十分にご理解のうえ、ご自分でも減らす努力をしてください。

 
(B) 非ステロイド性抗炎症薬(消炎鎮痛剤)
一般名:アスピリン、メフェナム酸、イブプロフェン、ナプロキセン、チアプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、スリンダク、ピロキシカム

 
効果:

痛み止めの薬のうち麻薬や麻薬に似た薬、麻酔剤以外の鎮痛薬のことをいいます。上に記述した10品目の成分はごく一部を示しているだけで、この数倍の種類の非ステロイド剤があり、製品名についてはおのおのの種類の薬の数に10倍、20倍した数があります。

いずれもステロイド剤と同等かやや劣る痛み止めの作用に加えて腫れや赤みを抑えるといった炎症止めの作用を持っていますが、効果の点でステロイド剤ほどではないことから非ステロイド性抗炎症剤、非ス剤などといわれています。

かつて多くの製品を化学構造式で分類していましたが、使い勝手の面から、作用時間の長さからの分類、経口・外用など投与方法の違いからの分類などが行なわれています。

1回投与するすると血液中に1日間以上残って作用する長時間作用型の非ステロイド剤として、テノキシカム、オキサプロジン、ピロキシカムなどがあり、半日〜1日間血液中に残っている中間型の薬としてフェンブフェン、ナプロキセン、ジフルニサルなどがあります。

非ステロイド剤を投与しているうちに変形性膝関節症や肩関節周囲炎の症状が消失して、2度と再燃することなく完治させたかと思わせることもありますが、多くの場合は一時的に炎症や痛みを除いて生活しやすいように助けることを目的として処方されるものです。従って、年余にわたって非ステロイド剤を処方されている場合、内服量を減らす努力、ほかに根本的に治す方法があればその方法に変える勇気などを持つ必要があります。

これは経口剤
坐剤についてであり、外用剤については皮膚への副作用がない限り、長期間使用によっても体に著しい合併症や副作用をもたらすことはありません。

副作用: ステロイド剤ほど重篤な副作用はでませんが、処方された患者さんの10〜15%に胃炎・胃潰瘍などの消化管症状が出現します。腎障害ももたらしやすく、とくに長期間使用した後に高齢となった場合に腎機能低下の発症が危惧されます。出血傾向やアスピリン喘息も生じやすく、ワルファリン内服患者さんでは出血時間が延長します。その他、肝障害・腎障害・貧血なども生じやすく、貧血の原因として消化管出血のほか造血臓器障害も認められます。

各薬剤別の特徴的な副作用としては、アスピリンの耳鳴り・難聴、インダシンのふらつき感・頭痛、イブプロフェン・スリンタグの髄膜刺激症状などがあげられます。これらの副作用が出現した場合は、薬を一時中断して、よく調べ直して薬を少量から再投与するか経口剤でもほかの種類のものに切り替える、外用剤を用いる、などを行います。

坐剤は経口剤と同様に体内に入る薬ですが、肝臓で分解されずに体内の炎症部位に薬が届きますので、より有効です。しかし、痔のある人には使えません。

( 監修 / 林先生:東京都老人医療センター院長 )
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