関節痛〜ひざ・肩〜

保存療法の治療方針

● 生活指導

変形性ひざ関節症の進行を遅らせるには、ひざにかかる負担を軽くしてあげることです。そのためには、肥満気味であれば体重を減らすこと、ひざを使い過ぎであれば運動量を減らしたり、運動の方法を変えること、ひざの周りの筋肉を鍛えることです。ただし、極端なダイエットは骨や軟骨の栄養が不足したり、ひざ関節を支える筋肉が弱くなってしまいます。いきなり標準体重まで減量するのが難しければ、2キロのダイエットに成功すればその分だけひざの負担が軽減されることになります。運動も体重コントロールも継続できる方法を選びましょう。

保存療法は4種類

保存療法には(1)運動療法(リハビリテーション)(2)物理療法(3)装具療法(4)薬物療法の4つがあります。これらの療法は初期から症状に合わせて選択され、必要に応じて組み合わせて行われます。

 

運動療法(リハビリテーション)

運動療法のイメージ
運動療法は、理学療法士の指導のもとに医療機関内の施設や自宅で行われます。目的は、筋力訓練と可動域訓練です。ただし、症状が出ている場合には無理をせず、専門家の指導にしたがってください。関節はもともと支持性のあるものですが、変形性ひざ関節症になると不安定になってしまいます。ひざへの負担を考えるとジョギングよりはウォーキングのほうがお勧めです。さらにおすすめなのは、自転車こぎや水中歩行などのように、なるべく関節に負担をかけないような運動です。ひざの状態、生活スタイル、運動の好き好きにより、長く続けられるものを選んで取り組むといいでしょう。

 

物理療法

血行をよくすることで痛みや動きを改善するもので、温めたり冷やしたりするほか、理学療法士の指導で熱や電気などの刺激を与えることもあります。変形性ひざ関節症の場合、基本は温めること。冷たく感じる湿布薬も薬の成分がひんやりした感じをもたらすだけで、冷やしているわけではありません。ひざ関節に腫れや熱がある時は冷やしますが、冷やした後は収縮していた血管が一気に拡張して血行が良くなります。冷温を組み合わせた方法もあります。

 

装具療法

装具療法のイメージ
装具はひざ関節にかかる負担を軽くすることとひざを安定させるために使われます。サポーター、足底板、杖などがあります。また機能的ひざ装具といって、患者さんの状態に合わせてつくられる装具もあり、ひざの負担を軽減する効果は他のものより優れています。装具を使用している際に痛い場所があるとか気になることがあったら、医師に相談しましょう。

 

薬物療法

薬物療法のイメージ
薬物には、痛みの強さや症状に合わせて処方する消炎鎮痛剤(一般的に「痛み止めと言われています)と、予防的効果もあるため幅広く使われるヒアルロン酸の関節内注射があります。
消炎鎮痛剤には、外用薬として塗り薬と貼り薬とがあり、一時的な痛みや炎症を抑えるために使われます。痛みが強くなったときに内服薬や坐薬が使われます。内服薬は手軽に服用ができますが胃腸障害などの副作用がありますので、体調に変化があった時には医師に相談しましょう。通常、長期間使用せず症状が治まってきたら、外用薬などに切り換えます。
ヒアルロン酸の関節内注射は、関節軟骨や関節液に含まれる成分のひとつであるヒアルロン酸を関節内に補充します。ひざ関節に直接注入することにより、関節の働きをなめらかにしたり、ひざの痛みを軽くしたり、炎症を和らげたりする効果が期待できます。ヒアルロン酸注射は初期の、痛みや症状の軽いうちに行うとより効果的です。一方、炎症を抑える働きもあるため、ある程度症状が進行してしまってからでも効果が期待でき、痛みや症状の強弱にかかわらず幅広く使用されています。
痛みが非常に強い場合には、消炎効果の高いステロイド剤の短期使用や神経ブロック注射などが用いられることもありますが、副作用を起こすことがありますので使用に当たっては注意が必要です。

(監修 / 菊池 啓 先生:近畿大学医学部堺病院 整形外科)
後援:日本骨粗鬆症学会 (C)yutakanahone-suishin-iinkai