インタビュー

RICHBONE15周年スペシャルインタビュー(3)

林泰史先生
RICHBONE総アドバイザー
(はやし やすふみ)先生

原宿リハビリテーション病院 名誉院長

日本の高齢化の進展、医学の進歩、情報化の発展など、骨や関節などRICHBONEをとりまく環境が変化してきました。 開設当初より、アドバイザーとして15年間RICHBONEサイトをサポートしてくださいました林泰史先生に、これまでの変化と骨粗鬆症や変形性ひざ関節症の治療と予防の最新事情、今後についてお話をうかがいました。

骨粗鬆症の予防、再骨折の予防について教えてください。

人生の最後まで自分らしく生きるために、骨折後の退院は再スタート地点。

病気の予防は、ラジオ体操や日々の散歩など健康増進によって病気を防ごうとするもの(一次予防)、検診などでの早期発見(二次予防)、そして病気になった後の回復や再発予防(三次予防)の3つに分けられます。 社会全体の高齢化が進むなかでは、まず一次予防の意識の高まりを感じています。健康のための食事や運動は、新聞やテレビ、雑誌でも毎日のように取り上げられていますね。
二次予防は、対象の疾患によって少し事情が異なります。感染症などは治療をすることで早期の治癒が可能でありその効果も実感できます。一方、生活習慣病や高齢者の骨や関節の病気などの場合、検査で疾患が発見できたとしても、残念ながら短期間で治療できるものは少なく、その治療効果も実感しづらいのが特徴です。また例えば骨粗鬆症が見つかった場合には、数ヶ月から数年にわたって、ときには一生治療を継続する必要があります。こういうこともあり、骨粗鬆症をはじめとする生活習慣病については、二次予防に関する意識が薄く、またこの意識を変えるのが難しいのが現状です。

そういう意味で重要なのが三次予防です。運動器のリハビリテーションの目的は機能回復ですが、それだけでは十分ではありません。退院を再スタート地点と考えて、退院後に活発な日常生活を送るように、精神的にも元どおりにさせることが重要です。「どんなに小さくても自分の役割がある」ことを示し、活動的な毎日を送ることを外来患者さんや入院患者さんの退院時に鼓舞すると、活力を取り戻し、自分ができることを見出し自分らしく生きようとする患者さんが多くみられます。これらの取り組みは日本の超高齢社会が進捗していく中で「地域包括ケアシステム」として全国展開されようとしています。その点でリハビリテーションは効果に年齢による差はないと考えられるため、自分らしく暮らすために80代から90代であっても骨折した場合は積極的なリハビリテーションを行う意味はあると思います。リハビリテーションによって認知機能が改善することも認められているため、高齢者のQOL向上のためにもリハビリテーションは重要であると考えます。

RICHBONEの15年間を振り返っていただいて、お感じになることはなんでしょう。

開設から15年間、ほぼ毎月RICHBONEに寄せられる骨や関節に関するご質問に答えてきました。以前は、「骨粗鬆症はどのような病気か」「これは、骨粗鬆症ですか」というような骨粗鬆症に関する基本的な質問が多かったのですが、ここ数年はよりパーソナルな症状に対する治療法や、現状の治療法に対するセカンドオピニオンとして意見を求められるケースが増えています。ユーザーさんの知識と関心の深さがうかがわれます。患者さんにとってたいへん重要な治療に関する質問が多いことは、15年前に他に先駆けてスタートし、ずっと啓発を続けてきた当サイトへの信頼感の表れともいえます。

今後も、患者さんに正確かつ最新の情報をわかりやすく伝えることを心がけるとともに、少しずつでも相互のやりとりができるようになると良いですね。やりとりを積み重ねることでより信頼が高まりますし、それを多くのユーザーさんと共有すれば結果として多くの方の役に立てるサイトになるのではないでしょうか。

先生からユーザーの方々へのメッセージをお願いいたします。

骨と関節の健康は、自分らしい生活の必須要素。骨粗鬆症の対策・治療、骨折予防を心がけましょう。

超高齢社会になり、骨粗鬆症や骨折の患者さんは増えています。かつては「寝たきり老人」という言葉に象徴されるように、高齢になると活動をしないようなイメージがありました。でも、現代では、平均寿命とともに健康寿命の延伸が提唱され、歳をとっても何歳までも健康で自分らしい生活が望まれます。運動は、身体機能だけでなく認知機能の改善にも有効ですし、身体をつくるタンパク質ややる気をあげるオメガ脂肪酸(DHA)などの栄養の摂取も大切です。

そして、高齢になったときこそ、足腰の健康がQOL(生活の質)に大きく関わってきます。骨と関節の健康は、いつまでも自分らしい生活の必須要素です。それぞれの年代での骨粗鬆症の対策・治療、骨折予防を心がけましょう。


後援:日本骨粗鬆症学会 (C)yutakanahone-suishin-iinkai